第四日 風の谷の三郎
 



さて、農家魂を目覚めさせた全裸達ですが…

やるとなったらとことんやるようです。

辺りは暗くなったのに農作業はやめません。








次郎「うーい。もういっちょ。」

三郎「ふぬ!ふぬ!」





作業をしているうちに日が昇りかけてきます。

それでも止めない全裸。

明日の食事はこの畑にかかっています。

 

・・・って急いでも次の日に作物はできる訳じゃないんだけど。

でも、熱くなっている 次郎はそんな事考えていません。

次郎 「ふむ。そろそろ肥料が足りなくなってきたな…」

三郎 「うむ。兄者、どうする?」

次郎 「そうだな…三郎弟者。肥料買う金もあまりないしな…裏の雑木林に行って腐葉土を持ってきてはくれないか?」

三郎「行くのは別にかまわないが…腐葉土とは?」

次郎 「ふむ。腐葉土とは地面に落ちている葉っぱの混じった土だ。素晴らしい肥料になるらしい。」

三郎「ほう!流石は兄者。博識だな。」

農場のおぢさんに教えてもらっただけなんだけどね。

三郎「心得た!では雑木林へ行こう!」

こうして三郎は裏の雑木林へ向かいます。

…っていいのか?市有地の土勝手に持っていって…。





その間も兄弟は畑仕事に精を出します。


兄弟「さぁ掘〜れぇ〜掘〜れぇ〜掘りまぁくれ〜♪」

さりげなく土木作業員ブルースなんかも歌っちゃいます。






さてさて、雑木林に向かった三郎。

着いた頃には朝日が顔をのぞかせていました。

三郎「ふむ。腐葉土…」

三郎は腐葉土を探しますが、そもそも腐葉土が何だかよく分かってません。

実際はそこいら中に良い土はあるのですが、三郎は「より腐葉土な物」を探したいようです。

とりあえずどんどん奥地へ進んでいきます。

 

・・

 

・・・


と、そこ謎のミカン箱がありました。

雨に濡れて少しふにゃった箱。






三郎 「ん?この箱は…?」

気になった三郎が箱をのぞき込んだその時です。

?「キシャー!」

三郎「おおう!」

箱から何か出てきました。何だか生き物のようです。

三郎「ぬぬぬ!」

謎の生き物はぱっと出てきて木の陰に隠れてしまいました。

三郎「な!何奴!」

三郎の心臓は激しくドキドキ状態です。

動物は威嚇しまくり。

三郎は威嚇する動物を見ました。

それは…雨に濡れた子猫。

(あ、関係ないけど作者がクリーニングに出したスーツ。
取りに行ったら乾燥剤がハンガーに吊されて戻ってきたんだけど
その乾燥剤についていた名前が「子猫と犬」。
乾燥剤の袋にかわいらしい子猫と子犬のイラストが入ってたんだけど
なぜ「子犬」ではなく「犬」…なんだか子犬差別されててちょっと悲しげな午後四時半)

三郎は腰をかがめてネコを呼びます。





三郎「ううむ。さぁ。怖がる事は無い…」

ネコ「シャー!」

ネコは差し出された三郎の手をひっかきます。

三郎「ぬぬ!さぁ…」

三郎は引っかかれてもひるみません。

突然の全裸の登場に威嚇していたネコも、次第に警戒を解いていきます。

元々飼い猫だったのでしょうか…。

って本当はこの街に住む動物のほとんどがめちゃめちゃなれなれしいんだけど。

しばらく迷った後、ネコは三郎の元まで来て甘えます。

 

三郎はそのネコを抱きかかえると背中をなでました。

さっきまで威嚇していたネコが今は自分の腕の中で甘えている。

動物を手懐ける腕に一人ホレボレ。

三郎「もしかして…今の自分ってナウシカチック…」

何だか変な自己陶酔までしてしまいます。ネコなでまくり。

三郎「ううむ。うい奴。」

殿様チックにネコを褒めます。この辺がナウシカになれない悲しさ。




三郎「ううむ。ネコ。ああ、ネコ…あああ、ネコ…」

気分はナウシカなんだろうけど端から見ると

全裸ムツゴロウ

三郎は腐葉土の事も忘れてネコをつれて家に帰ります。
 

帰る途中もなでまくりです。

 

 

三郎「じ、次郎兄者!」

次郎「おう。三郎弟者。早かったな。腐葉土はどれくらい…」

三郎「兄者!聞いてくれ」

三郎は抱えていたネコを地面におろします。


三郎「兄者!このネコタンを家で飼う事は出来ぬだろうか?」

次郎「ネ、ネコタン!?」


 

他の兄弟達も作業の手を休めてやってきました。

そんな中…全裸に囲まれて気後れするネコ。

三郎は必死にネコを飼う事をアピールします。

その情熱に押される兄弟達

次郎「ううむ…農家にはネコがいると良いと聞いたが…」

一郎「ん?何故ネコが?」

次郎「ふむ。畑を荒らす小動物を追っ払ってくれるらしい。」

一郎「ほう、そのような事を」

四郎「しかし小動物なんて見た事無いが…」

次郎「作物が育てば来るのだろう。ウサギとか…」

三郎「ウ、ウサタン!」

三郎は目を輝かせます。

彼の中のムツゴロウがもう止まらないのでしょう。

次郎「リスとか」

三郎「リスタン!」

次郎「畑泥棒とか…」

三郎「畑泥棒タン!」

三郎はどうやら壊れてしまったようです。

 

そんな三郎をスルーして四郎が言います。

四郎「…ふむ。次郎兄者が言うのなら必要だろう。一郎兄者、どうする?」

 

 

ネコをじっと見つめていた一郎は、長い沈黙の後に口を開きました。

一郎「うむ…そういえば夢の中で父上は言っていた…

『裏の畑でポチが鳴く。正直じいさん掘ったれば。大判小判がざっくざく…』

…と。これはこのネコの事を言っていたのかもしれない…」

 

次郎「ほう!まるで腐海文書か、辺境の部族に伝わる伝説のようだ…」

何だか分からないけどすごそうな感心をする次郎。

四郎「だれも青い服を着てないが…」

四郎が突っ込みますが兄者達は聞いてくれません。

一郎「畑とポチ。ポチがいないからネコ。とりあえずこれで予言は成就されるだろう。」

次郎「素晴らしい。枕元にたった父上はこのことを伝えたかったのだな。」

四郎「いや…兄者。その前提自体が間違ってる気が…」

 

とりあえず兄弟の予言成就のために必要となったネコ。

ほがらか一家の一員として迎えられる事になりました。




四郎「そういえばネコの名前は何に?」

一郎「ほう。そうだな。名前を付けてやらねば…」

次郎「ふうむ。ではテトとか…」

一郎「予言を重視するならポチだが…」

兄弟達は思いつく名前をあげていきますが、三郎がそれを遮ります。

三郎「あ、兄者。名前はもうすでに決めてあるのだ…」

次郎「ほう。三郎弟者。もう決めていたのか。その名前とは?」

三郎「釘太郎。」

兄弟「クギタロウ!?」

四郎「…三郎兄者がそう言うのなら別にかまわないけど…」

次郎「何故クギタロウ…」

一郎「…ううむ。深い命名だな。」

釘太郎と名前も決まり、兄弟達は改めて畑作りに精を出します。

さて、父上の予言は当たるのでしょうか?

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