第五日 面接だョ!全員集合!!

さてさて・・・、またまた間が長く開きましたね。
わざわざ見に来てくださる方々、すみませんです。
ってことで前回の続きですが・・・

元気よくドアを開けた兄弟たちの登場です。

 

次郎 「うぉぉぉぉぉぉ!!」

三郎「青い夏!」

四郎「白い海!」

一郎「太陽の浜辺!サニー・ビーチ!」

 

叫びも雄々しくドアを体当たりで開けると社長室に乱入します。
 

気分はパラダイス。





広々とした室内に豪華な調度品。自宅との違いに兄弟は興奮気味です。

一郎 「ここか!?ここが面接・・・いや、ぱらいその入り口か!」

次郎「うむ!兄者!どきどきするな!」

突然の乱入にあわてる社長&ミシェールさん。
(って社長このアングルじゃ見えないけどね。)

とりあえず先頭で入ってきた全裸(ミシェールさんの中では「全裸その1」)に話しかけます。





ミシェール 「あ・・・あなた達・・・いったい何なんですか!?」

至極まっとうな質問だと思いますが、実生活ではこの質問されることあまりないでしょう。

もちろん彼らはこんな質問には慣れっこです。

一郎 「我々はヌーディスト!!歓迎!」

三郎「面接!パライソ!」

次郎「YES!ぱらいそ!」

四郎 「リゾート!リゾート!」

 

ミシェール「(全裸その1以外も狂ってるのね・・・。)」

 

元気よく答えますが、兄弟全員がインデヤンになってるので何が言いたいのかわかりません。
 


おろおろとしながら社長が助け船を出します。

 

社長「えー・・・君たちは・・・面接希望の方達かね?」

兄弟「YES!ぱらいそ!」

元気よく答える全裸。ミシェールさんは小さくため息をつくと言いました。

 

 

『クールで冷たい仕事の出来るいいオンナ』を目指すミシェールさんには、この全裸どもは許せません。

ミシェール「・・・で、この乱痴気騒ぎは?」

 

一郎「『愛と友情と紳士的な行動』を規範とする兄弟としては乱痴気騒ぎと片付けられてはたまりません。

ヒートアップしてる『全裸その1』が抗議します。

 

一郎「乱痴気騒ぎとは!我々ジェントルメンを捕まえて何という無礼なことを!」

ミシェール「ジェントルメンは体当たりでドアを開けたりしません。」

 

クールに切り返すミシェールさん。



次郎 「まれに体当たりでドアを開けたくなることもあるのだ!ジェントルメンのたしなみとして!」

ミシェール「ジェントルメンは全裸で面接にきません。」

 

さらにクールに切り返すミシェールさん。



一郎 「全くもって心外!全裸で面接にくるジェントルメンが今ここにいるではないか!」

社長「あー・・・えー・・・」

 

イスに腰掛けたまま何とか口をはさもうとする気弱な社長。
そんなことはすっかり無視して戦う秘書VS全裸その1から4。

世の常識を説いても全裸どもには常識なんてありません。
(いや、あるんだけど普通の人とはちょっと違うところに常識が。)

クールなミシェールさんもついにブチギレ。

言ってはいけないことを口に出してしまいます。


ミシェール 「だから何で全裸なのよ!!」

 

一郎はハッとして考え込みます。

 

一郎「・・・・・なぜだろう。」

ミシェール「いきなり冷静に考え込まないでよ!」

一郎「いや・・・『何故全裸』・・・。この質問をまっすぐ突きつけられたことはなかった・・・。」

四郎「いや・・・兄者・・・昔私が聞いたことがあるが・・・。」

一郎「深い。実に深い・・・。」

四郎「また無視かい・・・。」

三郎「全裸であることの意義・・・か」

 

一郎「我々は怠惰な日常に流されて全裸であるということの本質を見失っていたのかもしれない・・・。」

 

涙を浮かべて後悔する全裸その1。


考え込む兄弟。

 

ミシェール「あーもう!ここで考え込まないで!」

次郎「問題提起をしたくせにっ!」

一郎「無責任だ!」

四郎「女将を呼べ!」

ミシェール「・・・・・・・・とりあえず・・・・。」




ミシェール「カ・エ・レ・!」

一郎 「おおおおぅ?」

 

ミシェールさんに小突かれてショックの兄者。

ブティックの店長も農家のおじさんもショーの司会者さんもとりあえず普通に接してくれたのに・・・。
 

 





一郎 「まったく!最近の娘は礼儀をしらん!帰らせてもらう!」

ちょっとおっさんぽく決めてみる一郎兄者。
弟者たちはとりあえず様子をみていますが・・・。

この険悪なムードの中でひとりおろおろしていた社長が声をかけました。
 

 

社長「まま、とりあえず座って話しましょう。コーヒーも出しますので・・・。」

 





三郎 「コ、コーヒー?」

次郎「美しい調度に囲まれて午後のコーヒーか・・・・。ジェントルメンな感じだな。」

四郎「兄者。どうする。」

一郎「うむ。ジェントルメンはコーヒー。」

 

ってことであっさりとクールダウン。
 


 

社長 「まま、とりあえずとりあえず・・。」

結構大きな会社の社長なのに腰が低い・・・こんな人の秘書には気の強い人が必要なのでしょう。

ミシェールさんは自分の席で成り行きを見守ります。





おとなしく座る兄弟。

四郎 「コーヒーを出してもらえるそうだぞ。」

次郎 「きっと汁をぽたぽた落とすコーヒーだぞ。」

汁をぽたぽた・・・。

三郎「粉じゃないのか・・・。すごいな・・・喫茶店でもないのにそんなものを・・・。」

一郎「本物のコーヒーだな。」

変なところで貧乏な兄弟。






社長 「んーっと・・・まぁ・・・とりあえず・・・お名前からどうぞ・・・。」

三郎「ををっ!いきなり面接だぞ!」

四郎 「今までの話の流れは・・・。」

次郎「気にするなって事かもしれないぞ・・・。」
 

こっそりと話す兄弟。
とりあえず元気に自己紹介することにしました。

一郎「ほがらか一郎です。」

次郎「ほがらか次郎です。」

三郎「ほがらか三郎です。」

四郎「ほがらか四郎です。」

 

 

 

見分けつきません。

 

 

 

 

社長「えー・・・見分け方や特徴はありますか?」

一郎「ありまするが・・・・20年は一緒に暮らさないと分からないと思いますので割愛を・・・。」

社長「そ・・・そう。」

あまり区別することに意味もなさそうなので、社長はそのまま仕事の説明を始めます。

が、兄弟は聞いていません。

次郎は隣の一郎にこっそり話しかけます。

 

三郎「兄者・・・コーヒーまだか・・・。」

一郎「しっ!紳士は催促してはいけないっ。」

三郎「・・・・兄者。かっこいいジェントルメンはやっぱりブラックで飲むべきか?」

一郎「それは基本だな・・・。」

三郎「うむ・・・。」





こっそりとコーヒー談義をする兄弟。

 

 

でもコーヒーを用意する(はずの)ミシェールさんは自分の席で爪のお手入れをしています。

社長 「ところで・・・その・・・何故全裸なのですか?」

一郎「ううむ。・・・よくよく考えたのだが・・・・。理由がなければ全裸ではいけないのか?」

 

社長「うっ・・・・!」

 

一郎兄者、哲学的です。

 

 

一郎「全裸であるから全裸である。これは理由にならないか?」

社長「そ、そうですか・・・では質問を変えましょう。・・・全裸とは何ですか?」

一郎「む!むむぅ・・・。全裸とは・・・・全裸とは・・・・。」

 

 

 

社長も負けずに哲学的なことをのたまいます。

 

って、ほんとに哲学的かどうかはしりません。

 

一郎「全裸とは・・・・衣服を身につけてない・・・。ってことだな・・・。」

 

なんて的確な答え。

 

社長「そうですね・・・。」

 

 

 

兄弟「・・・・。」

 

 

 

社長「・・・・・。」

 

 

 

 




兄弟 「それだけかよ。」
心の中でつっこみます。

 

 

社長「全裸とは奥が深いものですね・・・。」

 

 

一郎「うむ。衣服を着た人に理解することは難しいだろうな・・・。」

全裸のスペシャリスト、一郎兄者は胸を張って答えます。

 

社長「そうですね・・・。私も・・・もっと若ければ・・・。」

 

次郎「いや・・・・全裸に年齢は関係ない。『魂が全裸を求める時、それが全裸の時』」

クールに決める次郎。

社長「魂が・・・・全裸を・・・・。」

一郎「うむ。全裸を求める叫びはいつも魂の底にある・・・。」

 

 

ミシェール「(なんでいつのまにか全裸問答になってるのよ・・・。)」

なんだか変な盛り上がりを見せる人たちを眺めるミシェールさん。

面接のはずだったんですけどね。




社長「全裸の魂は・・・・まだ私のあるのだろうか・・・。」

 

三郎「まだ・・・?」



社長「恥ずかしながら・・・・私は昔、全裸でした・・・。」

兄弟「ほう・・・!」

 

意外なカミングアウトです。

 

社長 「嗚呼。全裸・・・・あの若き日の激情が蘇る・・・。」

 

席を立ち、兄弟の前に立つ社長。その瞳はきらきらと輝いています。

 

社長「私は・・・いつから服を着るようになってしまったのだろう・・・。いつ全裸の魂をなくしてしまったんだろう・・・。」

社長「何もかもが輝いていたあの頃・・・。」
 

遠い追憶にふける社長。

 

 

一郎「なんだか分からんがとりあえず全裸だったらしいぞ・・・。」

三郎「珍しいな・・・。」
(君たちもね。)
 

四郎「次回に続くようだな・・・。」

次郎「うむ。」

 

 


さぁ、衝撃の事実を告白した社長。

彼の過去の真実とは?、そして全裸兄弟の明日は!?

次回「全裸達のララバイ 第2154回 -駆け抜ける青春(フルティン)-」お楽しみに!








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