第四日 おはよう!労働の朝!
 



さてさて…。種の悲しみを眠りでごまかす兄弟。

明日からどうやって暮らせばいいのでしょうか?







と、そんな中で一郎はあまり寝付けません。

周りの兄弟は寝付いているのに、どうも眠れない様です。

一郎「ううむ……バナナ…ううむ。」

うわごとを言ってるうちに何だか妖しげなヴィジョンが浮かんできます。


ずっちゃーずっちゃちゃ♪
          ずっちゃーずっちゃちゃ♪



一郎「ん?…この音楽は…?」

どこからか妙なる音楽が聞こえてきます。



めーにどぱちむーしゅとろかーとえまにえーる♪

ぎーばからぐぉー・ばるどぅー♪



一郎「懐かしい調べ!…こ!この曲は!」

 

めーろでぃどまーふゅとろかえまにえーる♪

ぎーびからくぉー・ですぅー♪

(わかりにくい人のための解説:エマニエル夫人のテーマつもり)
 

何だが胸騒ぎがして起きる一郎。そこには籐椅子に座る全裸が。







一郎「この曲は…父上のテーマ曲!」


父上「やっと気付いたか。」


父上の声に目覚める一郎



 

 

 

 

一郎「ち!父上!」

父上「久しぶりだな。一郎。久々の再会だというのにパジャマとはつれないな。」

一郎「父上!?本当に父上なのか?」

父上「ああ、その証拠にほら。」

一郎「ああ!いちじくの葉っぱ!父上!」

何故いちじくの葉っぱが父の証かは秘密。

…つうかもうちょっとちゃんとした証明はないのか?



 

父上「さぁ。一郎」

一郎「父上!」

一郎は慌ててパジャマを脱ぎます。







ひしっ!



彼らにとって全裸はかくも神聖なものなのでしょうか。

感涙に濡れる二人。感動の再会。

でも全裸。
 

感動も取りあえず落ち着き、一郎は父上に聞きます。

一郎「父上。すでに天国へ行っていたと思っていたが…今日は何故?」

父上「うむ。実はな、お前たちの窮状を見て夢枕に立とうと…」

一郎「なんとありがたい。」

父の愛。なんと素晴らしい物なのでしょう。

昨日のパーティーの悲しみがいやされるようです。

 

父上「あまり時間がないから手短に済ますぞ。」

一郎「父上。一体…」

 

 

夢枕に立って何を伝えるつもりなのでしょう。

 

 

父上「一郎。しっかりと聞くのだぞ。」

一郎「う、うむ。」

父上は用意したマイクに向かいます。

つうか枕元に立ってなぜ籐椅子とマイクを用意する?




息を整える父上。辺りに緊張が漲ります。

 

父上は大きく息を吸い込むと、天高く届けと歌い出しました。

 

 

 

 

父上「♪裏の畑でポチが鳴くぅ〜正直爺さん掘ったればぁ〜

大判小判がざぁくざく!ザックザク♪」



一郎「父上…」




 

父上「ふぅ…我ながら素晴らしい歌声だった…」

一郎「父上…今のは?」

父上「わかるな?」

一郎「いや…これっぽっちもわからん。」

 

父上「そうか…気にするな。」

一郎「いや、父上?夢枕に立たれて意味が分からないんじゃ…」

父上「考えるな。魂で感じ取るんだ。」

一郎「そんな無茶な…」

父上「取りあえず…寝ろ。」

一郎「う、うむ。」


素直に寝てしまう一郎。



 


夢枕にまで立って一体何が伝えたかったのかは分かりませんが、

とりあえず父の愛は不滅という事でしょうか。

 

 

 

 

そして翌朝。

 

一郎は昨日の夢を語ります。


一郎「父上が枕元に立って…」

次郎「な、なに!一郎兄者!」

三郎「一体父上は…」

四郎「父上…」

一郎「立ち話も何だからキッチンで話そう。」

四人はキッチンへ急ぎます。








四郎「で、一郎兄者。父上はなんと?」

一郎「うむ…それがな…。」

三郎「…」

四郎「…」

次郎「…」

 

一郎「よく…分からなかったんだ。」















凍り付く兄弟。
 







次郎「…で、我々にどうしろと?」

一郎「どうしよう…?」

三郎「夢を見た当人が分からないものを…」

四郎「一体どうしろと…」

一郎「とりあえず出てきたかっただけかもしれない…」

次郎「ううむ。つまり『見なかった事にする』のが一番の解決法ではないのか?」

一郎「そうだな。それが一番だろう。」

 

言葉足らずの父の愛はこうして『無かった事』にされたのでした。

父上の登場シーンのためだけににエマニエル夫人のテーマをひたすらリピートした作者の苦労も知らずに…


一郎「ま、では今日の予定だが…」

次郎「ううむ。我々が生きていくためには畑を作らねばならない気がするな…」

四郎「種…か。」

三郎「うむ。生活のためだからな。畑を作り始めよう。」

次郎「しかし…作物を作るのにも色々と準備があるだろう…」

一郎「そうだな…」

四郎「兄者。農場のおぢさんに聞くのがベストではないか?」

次郎「うむ。確かに。あのおぢさんに聞けば分かるだろう」

一郎「ふむ。では次郎弟者よ。行ってきてくれるか?」

次郎「心得た。農場で必要なノウハウを聞いてこよう。」

一郎「うむ。頼んだぞ」




こうして次郎は農場へと向かいます。

今回は他のものには目もくれず、おぢさんに会いに行きます。


次郎「おぢさん。」

おぢさん「おお。なんぢゃの?」

次郎「作物を作りたいのだがノウハウを教えてはもらえぬか?」

おぢさん「ほうほう。かまわぬぞ。では簡単に教えるかのう。」

次郎「かたじけない。」





おぢさんは農家の何たるかを熱く語ります。

おぢさん「良い作物を作るのは良い農具でもない。豊かな土地でもない。心ぢゃ。」

次郎「ふむふむ。」






そう言えば今気が付いたけど…おぢさんの服。トマトのアップリケがちょっとキュート。


おぢさんのレクチャーは長く続きます。

(この辺は割愛いたしましょう)

とにかく次郎はそれをしっかりと記憶すると家に帰りました。






さてさて…おぢさんの農家魂を受け継いだ次郎は、早速畑作りに励みます。







結構立派な畑。兄弟全員で作る夢の畑です。

さてさて、持ち金がつきる前に作物を手にする事ができるのでしょうか…

続きのページへどうぞ。

NEXT
HOME BACK